IPv6基礎学習 第二回 座学編 「IPv6アドレス表記と自動割り当てについて説明」
はじめに
前回、第一回の座学編でIPv6の現状普及とIPv4との違いについて説明しました。
今回は第二回となる座学編でIPv6の表記方法やクライアントへのIPアドレス自動割り当てについて説明します。
第一回 | 座学編 | IPv6の利用状況やIPv4の違いについて説明 |
第二回 | 座学編 | IPv6アドレス表記と自動割り当てについて説明 |
第三回 | 演習編 | Windows10+Cisco CSR1000vで簡易なIPv6ネットワークの構築 |
第四回 | 演習編 | Cisco CSR1000vでIPv6 BGPネットワークの構築 |
第五回 | 演習編 | Cisco CSR1000vでIPv6 BGPネットワークの疎通確認と障害試験 |
IPv6アドレス
アドレス表記と省略について
IPv6アドレスは128ビットで構成されており、一つのブロックを16進数の4桁で表現します。このブロックをコロンで区切り合計8個並べてIPv6アドレスとなります。
また、IPv6は上記の16進数表記でも32桁となりそれなりの桁数となってしまうので、IPv6では省略表記がRFCで定められています。以下、JPNICからの内容となりますが、貼り付けします。(引用元:JPNIC RFC5952-IPv6アドレスの推奨表記)
この規則にのっとると、先に例で挙げたIPv6の表記は下記となります。(変更箇所は赤字)
クライアントへのIPv6アドレスの割り当て方法
クライアントにIPv6アドレスを自動で割り当てる方法について説明します。
(IPv6アドレスは手動設定が可能ですが、一般的に自動で割り当てるケースが多いです。)
リンクローカルアドレス
クライアントのOSが起動すると自動でリンクローカルアドレスを設定します。そしてICMPv6のNS(=Neighbor Solicitation)にてマルチキャストで同リンク上に同報通信をします。上位のルータや隣接ホストはNSを受け取るとNA(=Neighbor Advertisement)でMACアドレスを返します(IPv4のARP相当)。
また、同じリンクローカルアドレスを持つホストがいないかチェックをします(DAD機能=Duplicate Address Detection)。同リンク上に重複しているホストがいなければそのIPv6アドレスを使用します。
グローバルユニキャストアドレス 方法:SLAAC(スラーク)
クライアントはリンクローカルアドレスを送信元にしてルータに対してマルチキャストでICMPv6のRS(=Router Solicitationメッセージ)でIPv6情報の要求をします。RSを受け取ったルータはプレフィックス情報やデフォルトルート情報をICMPv6のRA(=Router Advertisementメッセージ)にて配布します。
インタフェースIDの確定はmodified EUI-64という方式を用いてクライアント自身のMACアドレスから生成され、RAで配布されたプレフィックス情報を合わせてIPv6アドレスが設定されます。
なお、基本的にRAはプレフィックスの情報を配布するため、クライアントからするとDNSサーバのIPアドレスも必要になります。その為、RAにはRDNSS(=Recursive DNS Server)というオプションが盛り込まれ、これを利用するとSLAACだけでDNSサーバのIPアドレスも配布することが可能です。
なお、RDNSSを利用しなかった場合は、次のDHCPv6サーバで別途配布する必要があります。
グローバルユニキャストアドレス 方法:DHCPv6
他の方法はDHCPのIPv6版となる『DHCPv6』を利用します。DHCPv6を使用することでIPv6の128ビット全体のIPアドレスとDNSサーバのIPアドレスを配布することが可能となります。なお、IPv6の128ビットアドレスをDHCPv6サーバが配布することからアドレス管理が可能となり、この方法をステートフルDHCPv6と言います。
また、上記で説明したSLAACではRDNSSを使用しなかった場合はDHCPv6サーバでDNSサーバIPアドレスを配布するケースもあります。この場合は、IPアドレスの管理までは行わないことからステートレスDHCPv6と言います。
SLAACとDHCPv6について
二つの方法をまとめると下記の図の動作となります。
グローバルユニキャストの自動割りてを整理すると下記の組み合わせのいずれかだ基本となります。
方式 | SLAACで配布する内容 | DHCPv6サーバが配布する内容 |
---|---|---|
SLAAC(RDNSS併用) | ・IPv6プレフィックス(インタフェースIDはクライアント自身) ・デフォルトゲートウェイのIPアドレス ・DNSサーバのIPアドレス(RDNSS機能) | – |
SLAAK + ステートレスDHCPv6 | ・IPv6アドレス(インタフェースIDはクライアント自身) ・デフォルトゲートウェイのIPアドレス | ・DNSサーバのIPアドレス ※ステートレスDHCPv6 |
ステートフルDHCPv6 | – | ・IPv6アドレス ・デフォルトゲートウェイのIPアドレス ・DNSサーバのIPアドレス ※ステートフルDHCPv6 |
なお、上表には記載しませんでしたが、SLAAC+ステートフルDHCPv6という組み合わせもあり、この場合は、SLAACに加え、DHCPv6サーバからもIPv6アドレスを取得することから、クライアントは2つのIPv6アドレスを取得することになります。
第二回となる座学編は以上となります。次回から演習編となり、実機ベースで簡易なIPv6ネットワークを構築します。
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